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京阪奈の地元民ならではの奈良と京都南部の隠れたスポット・おすすめ情報をご紹介していきます。

香芝市にある屯鶴峯地下要塞

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奈良県香芝市の「屯鶴峯」は、天然記念物の指定を受けた石灰岩で構成された岩山です。

 

屯鶴峯

この奇妙な岩山は観光スポットとして色々な雑誌で取り上げられていますが、実はこの中に総延長2キロもある巨大な地下要塞が存在することはあまり知られていません。登山口からゆっくり歩いて10分程度で地下壕入り口がありますが、一般の人が見つけることは困難です。

 

地下要塞

山2つに渡りほぼ同じ構造の要塞が2カ所ありますが、東側の壕はすべての入り口が塞がれて入れなくなっています。その壕は現在は京都大学地殻変動観測所として使われています。西側の壕は風化しつつも、現在も戦時中の状況をうかがい知ることができます。壕の入り口はそのどれもが意外と小さいですが、しかし壕内は広く、一番広いところでは2tトラックが走れそうなほどの広さがあります。構造はあみだくじのような碁盤目状になっています。何のために掘られたのか、ほぼ垂直なほど急勾配のたて穴もあります。小さな部屋状の穴も何カ所かあり、そして壕内は所々水が溜まっている所も多いです。照明用の碍子などを留めた金具の穴やツルハシ跡なども残っています。

 

未使用のまま終戦

この「屯鶴峯地下要塞」は陸軍の「大正飛行場」を中心とした、本土決戦用防空システムの司令部として使われるべき掘られたものですが、使用することなく終戦となりました。近くにある二上山や駒ヶ谷には高射砲台や機関銃座、燃料貯蔵地下施設等々この南河内には多くの関連施設があり、陸軍航空総軍の拠点になる予定でした。

 

近くの山で畑をしている方に戦時中当時の話を聞くと、工事はかなりの規模で、民間人は近づけなかったようです。皇族を招く予定で作られた豪華な木造建造物は遠くからでも見えたということです。工事は、1000人程の軍人だけで構成された地下施設隊が行っていたそうです。工事での死亡事故はなく高い技術で掘られていたようです。

 

人知れず消滅の危機

ただこの地下要塞は現在消滅の危機が迫っています。この地下要塞がある山は、実は造成業者の私有地であるため、周りにあった山々は切り崩され地下壕のある山のすぐ横まで平地になってしまっています。この貴重な戦争遺産をなんとか残して欲しいと思います。

 

アクセス

【電車】近鉄南大阪線上ノ太子駅」から徒歩約40分、近鉄南大阪線二上山駅」から徒歩約30分。

【住所】奈良県香芝市穴虫140